暴力団情勢と対策

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暴力団対策法ってこんな法律

 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律、いわゆる「暴力団対策法」は、これまで対処が困難であった民事介入暴力への対策を効果的に推進するとともに、対立抗争による市民への危害防止のための必要な措置を講ずるために制定されました。
 また、国及び各都道府県に暴力追放運動推進センターを指定する制度を設け、暴力団員による被害の予防と被害者の救済に資するための活動を行わせることとしました。

暴力的要求行為の禁止(禁止行為)

 暴力団対策法においては、指定暴力団員がその所属する指定暴力団等の威力を示して行う27類型の不当な行為が禁止されています。
 公安委員会では、暴力団対策法に違反した指定暴力団等に対しては、中止命令や再発防止命令を発出し、その行為を中止させています。この命令に違反すると刑罰の対象になります。さらに特定危険指定暴力団に指定されると、指定した区域(警戒区域)内で禁止行為に該当する不当要求を行うと、中止命令等を経ずに刑罰が課せられます。

暴力的要求行為の要求などの禁止

 
皆さんが、指定暴力団員に対して暴力的要求行為を行うことを要求することは、 法律で禁止されています。
 
暴力団対策法第10条では、何人も、

  • 指定暴力団員に対して、暴力的要求行為をすることを要求や依頼、又は唆したりすること(第1項) 
  • 暴力的要求行為の現場に立ち会い、指定暴力団員が行う暴力的要求行為を助けること(第2項) 

が禁止されています。

 
 これらの行為を行えば、都道府県公安委員会から「中止命令」や「再発防止命令」 が出され(「中止命令」については、警察署長も出すことができます。)、また、その命令に違反すれば、 3年以下の懲役又は250万円以下の罰金に処せられることとされています。
 
暴力団を利用することは、社会的に許されないことです。 

準暴力的要求行為等の規制

 
 指定暴力団員は、自己が所属する暴力団の暴力団員以外のものに対し、暴力的要求行為と類似の行為を行わせることを法律で禁止されています。
 

準暴力的要求行為の要求等の禁止等(暴力団対策法第12条の3及び第12条の4) 

  指定暴力団員が、当該指定暴力団の指定暴力団員以外の者(例えば、暴力団の準構成員など)に対し、当該指定暴力団の威力を示して暴力団対策法第9条に掲げる不当な要求行為をすることを要求し、依頼する等の行為が禁止され、その違反行為に対しては、再発防止命令を発出することができます。
 

準暴力的要求行為の禁止等(暴力団対策法第12条の5及び第12条の6)

 指定暴力団との間で、その所属する指定暴力団の威力を示すことが容認されることの見返りとして金品等を支払うことを合意している者等指定暴力団と一定の関係を有するものが、当該指定暴力団の威力を示して暴力団対策法第9条各号に掲げる不当な要求行為をすることが禁止され、その違反行為に対しては、中止命令又は再発防止命令を発出することができます。 
 

暴力的要求行為等による被害者に対する援助

 
 「中止命令」や「再発防止命令」によって暴力的要求行為等が中止等された場合において、 暴力的要求行為等を受けた相手方が被害回復を求めて、必要な援助の申出をすることができます。
 
 公安委員会は、暴力的要求行為及び準暴力的要求行為の中止命令又は再発防止命令をした場合に、その暴力的要求行為や準暴力的行為の相手方が加害者に対し被害回復を求めるに当たって警察本部又は最寄りの警察署に援助を受けたい旨の申出をしたときは、加害者に対する必要な事項の連絡、加害者の連絡先の教示、被害回復交渉場所としての警察施設の利用等必要な援助を行うこととしています。
 

指定暴力団について

指定暴力団とは

 暴力団対策法による規制対象 
 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(暴力団対策法)は、都道府県公安委員会が指定した暴力団(指定暴力団)の構成員が、一定の行為を行うことを禁止しています。
 

 

適用事例等

公共部門における暴力団排除

生活保護からの暴力団排除

 市からの照会に基づき、生活保護の申請者について調査したところ、同申請者が住吉会傘下組織幹部であることが判明した。令和4年9月、警察からの回答を受けた市が、同申請者の申請を却下した。(令和4年9月、千葉)

各種業法による暴力団排除事例

建設業許可からの暴力団排除

 県からの照会に基づき、役員の変更を届け出た建設業者について調査したところ、同建設業者の役員の1人が、稲川会傘下組織幹部であることが判明した。令和4年3月、警察からの回答を受けた県が、同建設業者の建設業許可を取り消した。(令和4年3月、岐阜)

暴力団事務所の撤去事例

六代目山口組傘下組織事務所の撤去

 茨城県水戸市に所在する六代目山口組傘下組織事務所について、その付近に所在する小学校の設置者である同市が、警察、民暴委員会等と連携し、令和4年2月、水戸地方裁判所に対し、同事務所の使用禁止の仮処分命令の申立てを行ったところ、同市が同事務所の土地及び建物を買い受けることで和解が成立し、同年5月、同事務所が撤去された。(令和4年5月、茨城)

適格都道府県センター制度を利用した暴力団事務所の撤去事例

六代目山口組傘下組織事務所に対する使用差止仮処分命令の決定

 令和4年3月、適格都道府県センターとして認定を受けた公益財団法人鳥取県暴力追放センターが、六代目山口組傘下組織事務所の付近住民から委託を受け、鳥取地方裁判所米子支部に対し、同センターの名をもって同事務所の使用差止の仮処分命令の申立てを行ったところ、同年6月、同命令が決定された。(令和4年6月、鳥取)

暴力団排除のための条例適用

利益供与事業者等に対する勧告

 建設業を営む株式会社の役員は、令和2年11月下旬頃から令和4年4月下旬頃にかけて、暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなることを知りながら、六代目山口組傘下組織幹部に現金合計70万円を供与した。同年9月、同社及び同幹部に対し、勧告を実施した。(令和4年9月、新潟)

禁止区域における暴力団事務所の開設等

 稲川会傘下組織組長は、条例により定められた暴力団事務所の開設又は運営の禁止区域において、令和2年10月中旬頃、暴力団事務所を開設した上、引き続き令和4年3月までの間、運営した。同年5月、同組長を同条例違反(暴力団事務所の開設及び運営の禁止区域等)で逮捕した。(令和4年5月、神奈川)

暴力団員の社会復帰対策の事例(就労支援)

暴力団からの離脱者に対する就労支援

 暴力団からの離脱者が、都道府県センターに対して転職に関する相談をしたことから、社会復帰アドバイザーが受入れ企業との面談を行うなど、警察、都道府県センター、関係機関・団体等から構成される社会復帰対策協議会において就労支援を行い、令和4年5月、同人は希望する企業に就労した。(令和4年5月)

企業活動を利用した資金獲得活動の事例

稲川会傘下組織組員らによる職業安定法違反事件

 稲川会傘下組織組員らは、法定の除外事由がないのに、令和3年3月頃から令和4年9月頃にかけて、食料品の販売等を営む店舗に労働者を継続して供給し、商品の陳列等の労働に従事させ、労働者供給事業を行った。令和4年11月、同組員らを職業安定法違反(労働者供給事業の禁止)で逮捕した。(令和4年11月、青森)

六代目山口組傘下組織組員らによる詐欺事件

 六代目山口組傘下組織組員らは、令和4年1月頃、金融機関から自動車ローンの借入名目で現金をだまし取ろうと考え、自動車を購入するつもりがないのに自動車ローンを申し込み、融資金約290万円をだまし取った。同年7月、同組員らを詐欺罪で逮捕した。(令和4年7月、長野)